秘めた愛の結末
女性:(3回ドアをノックする音)
女性:「失礼します」
女性:「お父様、お呼びでしょうか?」
女性:「えっ…?」
女性:「いえ、なんでもありません」
女性:「はい……わかりました」
女性:「失礼致します」
女性:「…これって…」
(少し間をあける)
男性:彼女から電話だと、執事から
男性:伝えられた。
男性:僕は出なかった。
男性:代わりに、執事に伝言を頼んだ。
女性:彼の家に初めて電話をした。
女性:執事が出て、
女性:「今は忙しい」とのこと。
女性:続けて、彼からの伝言で、
女性:今夜、二人で花の話をした
女性:あのテラスで待っていてほしい
女性:そう、告げられた。
男性:「…お待たせ」
女性:「………」
女性:「あ、あの…」
男性:「待って」
女性:「え…?」
男性:「これを…」
ー 男性は女性に向けて、大きな花束を差し出す ー
女性:「あ………」
女性:「…マーガレット…」
男性:「あなたの事を愛しています。
男性: 誰よりも
男性: 何よりも
男性: この『誠実な恋』の花のもとに」
女性:「(泣きそうに)………なん、で…?」
男性:「なんでって、あなたの事が、好きだからですよ」
男性:「それに…先を…越されちゃったから」
女性:「え?」
男性:「花の話…でさ」
女性:「あっ…(照れくさそうに)」
男性:「あなたも、僕のことを想ってくれてたんだなって」
女性:「そう…だね。
女性: …伝えて良いものか、本当に迷ったのだけれど…」
男性:「…僕も(苦笑)」
男性: 僕達の立場だと、結ばれてはいけない関係だったからね」
女性:「そう…
女性: 叶わないと…
女性: この想いをずっと…心にしまっておこうかと」
男性:「僕も同じことを思ってたよ。
男性: でも、この気持ちは、大きくなっていく一方で
男性: 誰にも渡したくないと」
女性:「…あなたが…夢に出てきたの」
男性:「え?」
女性:「あなたが、夢の中で
女性:『僕は、あなただから』と…」
女性:「変な事…言ってるよね。
女性: ごめんなさい…」
男性:「そんなことないよ」
男性:「僕も、いつからか、あなたを想うようになっていた。
男性: そういう意味では、僕は、あなただし。
男性: あなたは、僕なんだと…。
男性: お互いに、お互いを想っていたんだと…」
(少し間をあける)
女性:ここには、私たち二人だけ。
女性:二人以外、誰もいないテラスで、
女性:私は、彼に言った。
女性:「星が綺麗ですね」
男性:「月も綺麗ですよ」
男性:彼女の言葉に、そう応えた。
男性:彼女は、少し驚いたような、
男性:照れくさそうな顔で、話し始めた。
女性:「……ずるい。
女性: あなたは、いつも素直に想いを伝えてくれる」
男性:「いつも伝えられているかな?
男性: これでも、想い人を目の前にして必死なんだけど」
女性:「そうかもしれないけれど
女性: それでも私は素直に想いを伝えてくれてると思う。
女性: だから、私もあなたに…。
女性: あなたの事を…愛しています」
男性:「…」
女性:「もう、あなたは気づいていると思うけれど…。
女性: 私は、想いを素直に伝えることが得意ではないの。
女性: でも、あなたのことを想う気持ちはどうしても、言葉にしたくて」
ー 男性が女性を抱きしめる ー
男性:「同じ気持ちだったんだね。
男性: きっと、僕達は結ばれる運命だったんだよ。
男性: 本当に、ありがとう」
女性:「こちらこそ、あなたと同じ気持ちで嬉しい」
男性:「順番が逆になってしまってごめんね」
男性:そう。僕と彼女は、政略結婚をする。
男性:それをきっかけに、僕らお互いの財閥は、統合することになった。
男性:彼女に会えないあいだ、
男性:僕は、どうしても彼女と一緒になりたくて
男性:僕は財閥が統合するように奔走(ほんそう)していたのだ。
女性:数ヵ月後、結婚式
女性:場所は、あのテラス…
男性:周りからはお互いの財閥が、
男性:戦略的に、二人が
男性:結婚するように見えるだろう。
女性:実際は違う。
女性:今、私達は両想いで
女性:ここにいる。
男性:彼女がバージンロードをゆっくりと歩いてくる
男性:ブーケの花はもちろん、マーガレット
男性:目の前で彼女が立ち止まる
女性:「おまたせ」
男性:「とても綺麗だよ」
女性:「ふふ…ありがと。
女性: 私の為に、頑張ってくれたんだね」
男性:「そりゃあ、愛しているからね」
女性:「本当に、あなたはそうやってたくさん想いを伝えてくれる」
男性:「言葉にしないと、伝わらないこともあるからね」
女性:「たしかに」
男性:「これからは、君をいつも喜ばせたいし。
男性: 君を幸せにすると誓うよ」
女性:「(ため息)もう…とても恥ずかしいんだけど」
男性:「照れてる顔もかわいいね」
女性:「でも…私も頑張るから」
男性:「えっ?」
女性:「(小さい声で)ずっと…」
男性:「…」
女性:「ずっと一緒にいてくれますか?」
男性:(照れ隠しで)
男性:「え?聞こえなかった。もう一回言ってくれる?」
女性:「…意地悪…」
男性:「ごめん。
男性: ずっと一緒にいてください」
女性:「はい」
男性:「あっ」
女性:「どうしたの?」
ー 男性、女性にキスをする ー
女性:「んっ…」
ー 女性、驚くもゆっくりと目を閉じる ー
男性:彼女が好きな気持ちが
男性:止められず
男性:思わず、彼女に口付けをした。
男性:「愛してる」
男性:「今まで言えなかった分、言わせてほしい」
男性:「愛してる、愛してるよ」
女性:「私も愛してる」
女性:「…愛してるよ」
女性:私はとても幸せを感じている。
女性:マーガレット
女性:花言葉は
女性:真実の愛
(終わり)
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