想いは花とともに
男性:いつからだろう。
男性:彼女を目で追いかける様に
男性:なったのは。
男性:いつからだろう。
男性:彼女の笑顔に惹かれるように
男性:なったのは。
男性:いつからだろう
男性:彼女を想うようになったのは。
女性:「あ、こちらに居らしたんですね」
女性:「よく、お会いしますね」
男性:最初は、なんとなく、
男性:他愛のない、話をしていた。
男性:僕と彼女の立場上、
男性:恋愛感情が生まれるなんてことは
男性:考えられなかった。
男性:でも…
男性:彼女は、本当に、
男性:誰に対しても、優しくて
男性:笑顔が素敵で
男性:そして、
男性:どこか、寂しげで…
男性:切なそうで…
男性:いつしか、
男性:気になるようになっていた。
男性:ただ、この想いを
男性:伝えることは出来ない…
男性:僕に言える精一杯は
男性:「あなたは、優しい人です。」
男性:それだけだった。
女性:「…優しいですか?」
男性:「えぇ。とても」
男性:心から言っているはずなのに
男性:感情が追い付いていない
女性:「褒めても何も出ないですよ?」
男性:「僕は見返りを求めて
男性: 言っているわけではないので。」
男性:「素直に想っていることを
男性: お伝えしているだけです」
女性:「そう、ですね…」
男性:本当に言葉と感情は比例しないと
男性:思い知らされる。
男性:僕は彼女が好きだ。
男性:でも、想いを
男性:伝えられずにいる。
男性:ある時、偶然を装って
男性:彼女を外に連れ出した。
男性:そしてまた、彼女と
男性:他愛のない話をした。
男性:今日は、花の話。
男性:僕は、花に詳しくないけれど、
男性:彼女が楽しそうにしてくれる
男性:花の話を、彼女の声を、
男性:ずっと聞いていたいし、
男性:もっと聞きたいと思った。
女性:「あなたは【スノーフレークの花】のような人だと思っていました」
女性:「【リナリア】や【勿忘草(わすれなぐさ)】は花として好きですね」
女性:「【サザンカ】と…【マーガレット】が、花言葉も含めて好きですね」
男性:彼女はその時…花言葉を
男性:その意味を…
男性:教えてはくれなかった。
女性:「花言葉の意味は秘密です」
女性:「心の中に留めておくほうが良いと思うので」
男性:僕は、また会える口実がほしくて
男性:「なら、次に会う時までに調べておきましょう」
(少し間をあける)
女性:花言葉
女性:スノーフレーク
女性:皆をひきつける魅力
女性:リナリア
女性:この恋に気づいて
女性:勿忘草(わすれなぐさ)
女性:私を忘れないで
女性:サザンカ
女性:永遠の愛
女性:マーガレット
女性:真実の愛
男性:次に会える口実がほしくて
男性:調べた花言葉
男性:そうか
男性:やっぱり
男性:彼女には想い人がいる。
男性:これは、僕にあてた
男性:メッセージなのかもしれない。
男性:でも…
男性:僕ではない
男性:他の誰かだとしたら…
男性:…それを、知ってしまったら
男性:僕達の関係は…
男性:それでも
男性:いや、だからこそ
男性:この想いを伝えたい
男性:例え、叶わない恋だとしても
男性:君に贈ろう
男性:蓮華(れんげ)の花を。
男性:想いは花とともに
(『誠実な恋の行方』へ続く)
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