幼馴染の淡い恋


【詳細】

 『初恋』『幼馴染』『遠距離』『カフェ』というワードから書いたお話。

 男女サシ劇 

 時間目安 10分程度

 人称変更、語尾改変などは、話の変わらない程度なら可


【あらすじ】

 久しぶりに幼馴染が地元に帰ってくることを知った男性は家で待たせてもらうことに。

 

 

【登場人物】

 男性:妹のように思っていた女性のことが好き。

 女性:兄のように思っていた男性のことが好き。


以下、本文



女性:私はいつからこの気持ちを持ったのだろう。

女性:物心ついた時からずっと一緒で…兄妹のように育ってきた、彼に。


男性:俺はいつからこの気持ちを持ったのだろう。

男性:物心ついた時からずっと一緒で…妹のように可愛がっていた、彼女を。



ー これは幼馴染の2人の淡い恋物語 ー



女性:「ただいま」



女性:ようやくまとまった休みが取れることになり、数年ぶりに実家に帰省した。

女性:母に出迎えられて、リビングに着くと、先客が居た。



男性:「久しぶり」

女性:「本当にね。てか、何でうちに居るの?」

男性:「たまたま、玄関前でおばさんに会ったら、ちょうどお前が帰ってくるって言うから」

女性:「言うから?」

男性:「久しぶりに会いたいなって思って、ここで待たせてもらってたんだ」

女性:「ふぅ~ん」

男性:「何だよ」

女性:「別に。相変わらずなんだなぁって思っただけ」

男性:「ん?」

女性:「何でもない。こっちのこと」



女性:本当に家族同然で育ってきたから、これが当たり前になっているのは分かっていた。

女性:でも…私はもう家族とは思えなかった。


男性:久しぶりに会った幼馴染は、やっぱり可愛くて、前まで妹のように思っていたのに。

男性:でも…今はもう妹とは思えなかった。



女性:「そういえば、そっちは仕事順調なの?」

男性:「あぁ、変わらず。そっちは?」

女性:「こっちは…まぁまぁかな?」

男性:「そっか」

女性:「そうだね。女の上司なんて、ほんと苦手」

男性:「まぁ、いろんな人が居るからな」

女性:「うちの職場がキツイだけかもしれないけどね」

男性:「都会の人間はなぁ」

女性:「住んでいる地域でどうこう言うつもりはないけど…ね」

男性:「ここの人たちに慣れるとなかなかなぁ(苦笑)」

女性:「そうだね(苦笑)」

男性:「こっちにはどれくらい居れるの?」

女性:「4泊5日の予定」

男性:「おぉ!結構居れるじゃん」

女性:「リフレッシュ休暇だからね」

男性:「予定は?」

女性:「特にないよ。ギリギリまでどうなるか分かんなくて、誰にも連絡してないから」

男性:「じゃあ、明日、カフェに行こう」

女性:「カフェ?」

男性:「あぁ、お前が引っ越した後に出来たんだけど、結構雰囲気も良くて好きなんだ」

女性:「へぇ~。てことは、甘いものも種類豊富にある、と(笑)」

男性:「え?」

女性:「だって、いつもカフェ巡りするって言って、ほぼ甘いものを食べるために行ってると思ってたから」

男性:「あぁ…それは間違いない(苦笑)」

女性:「でも、せっかくだから、そのカフェの周辺も案内してよ」

女性:「しばらく居なかったから、色々見てみたいし」

男性:「いいよ。じゃあ、何時に待ち合わせにしようか?」

女性:「う~ん、午前中に出掛けて、そのままお昼、色々見てからお茶しにカフェに行くって感じでいいんじゃない?」

男性:「うん。じゃあ、そうしよう」



ー 朝、男性の家 ー



女性:「おーい」

男性:「(寝息)すぅ…」

女性:「寝坊しちゃうよー」

男性:「ん………ん?」

女性:「やっと起きた。ガイドが寝坊とかありえないんですけど?」

男性:「え、何でここにいんの?」

女性:「おはようございます。」

男性:「あ、おはようございます…じゃなくて、何で部屋にいるの?」

女性:「あー、おばさんが入れてくれた。」

女性:「『あのバカまだ寝てるから叩き起こして良いからね』って」

男性:「あの、俺にもプライバシーというものが。」

女性:「昨日私が帰った時にウチに居たの誰でしたっけ?」

男性:「…返す言葉もございません。」

女性:「じゃあ、さっさと準備してください。」

男性:「はい…」



女性:上手にごまかせたかな?目の下のクマは気付かれてないかな?


男性:変わってないなぁ、昔から。楽しみな事があると寝られなくて俺を起こしに来る。

男性:本当に可愛いなぁと思う。



ー 二人で出掛ける ー


ー 昼過ぎ、カフェにて ー


 

女性:「へぇ、こんな田舎にこんなおしゃれなカフェが出来るなんて」

男性:「時代は変わるんだよ(ドヤ)」

女性:「なんであんたがそんなにドヤ顔なのか分かんないけどw」

男性:「(笑う)」


(少しの間)


男性:「さて、もう少ししたら帰りますか。」

女性:「え、まだ夕方だよ?何か用事でもあるの?」

男性:「いや、無いけど」

女性:「じゃあいいじゃん。まだ帰りたくない」

男性:「何そのセリフ?俺の事好きなの?」

女性:「そういうつもりで言ったわけじゃないけど」

男性:「(笑)知ってるよ」

女性:「ん?」

男性:「昨日眠れなかったんでしょ?また明日遊んでやるから今日はさっさと寝ろ」

女性:「…なんで分かったの?」

男性:「幼馴染なめんなよ(笑)眠いクセに帰りたくないって駄々こねるところも変わんないね(笑)」

女性:「だって」

男性:「ん?」

女性:「ううん。何でもない!帰ろう」



女性:しばらく会ってなかったのに、彼は私の事を分かってくれている。

女性:こんなに安心できる人はいないと思う。


男性:『まだ帰りたくない。』って、言うと思ってた。

男性:分かってるけど、やっぱりちょっとドキっとしてしまう自分は

男性:彼女の事が好きなんだと思う。



ー二人、帰り道ー



女性:「やっぱり持つべきものは幼馴染だわ」

男性:「なんだよ急に」

女性:「最近仕事仕事で、全然友達とかとも連絡取ってなくて、こっちに帰っても誰も遊んでくれないと思ってたけどさ」

女性:「あんたは変わらず付き合ってくれるし、私の事分かってくれてるから気が楽なんだよね」

男性:「そりゃどうも」

男性:「俺も、さ。なんだかんだ変わってないお前の事が…嫌いじゃない。」

女性:「(笑)ふっ、なにそれ?」

男性:「笑うなよ(笑)」

女性:「あんたも笑ってるじゃん」



ー 女性、あくびをする ー


男性:「ほら、さっさと帰って寝ろ。」


ー 男性、女性の頭をなでる -



女性:「あ……懐かしい。けどセクハラ」

男性:「え!訴えないでください!」



ー 二人、笑う ー



女性:「じゃあ、また明日ね」

男性:「うん、また明日」



女性:明日、私は彼に告白する。


男性:明日、俺は彼女に告白する。



ー これは幼馴染の2人の淡い恋物語 ー



(終わり)

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