不器用な2人の恋愛模様

~素直になれない自分を嫌う~


【詳細】

 『嫌』『想い』『素直になれない』というワードから書いたお話です。

 ~彼氏と彼女がカフェに行くまで~は

 後から『くろろこ作』で出来たお話ですが、ぜひ、そちらから読んでください。

 男女サシ劇

 時間目安 10~15分程度

 作:chao


【あらすじ】

 自分のことを好きになれない女性が、彼氏に思いを打ち明けて…


【登場人物】

 男性:彼女のことが好き。

 女性:彼氏のことが好き。自分のことは嫌い。


 ※どちらも〇〇のところは、演じる方のお名前を入れるか、二人称に変更して読んでください。


以下、本文



男性:今日は彼女と久しぶりにカフェでお茶をしようということになり、テラスでのんびり過ごしながら、注文するものを決めていた。


(少し間をあける)


男性:「何にする?」

女性:「うーん、悩むなぁ」

男性:「気分的には?」

女性:「甘いもの…かな?」

男性:「なら、ミルク多めのものがいいかもね。砂糖的な甘さじゃないんでしょ?」

女性:「うん」

男性:「あとは…雰囲気的に、今日はカプチーノとラテで悩んでる感じかな?」

女性:「…なんで、分かるの?」

男性:「見てれば分かるよ。僕が思うに、カプチーノがおすすめかな?」

女性:「なんで?」

男性:「ラテもエスプレッソとミルクで作るけど、お店によって、砂糖を多めに入れたりしないと飲めなかったりするでしょ?」

女性:「あぁ…確かに」

男性:「カプチーノは、ミルクがラテより多めだから、砂糖的な甘さはあんまりって言うし、そっちがいいかなって」

女性:「本当にコーヒーに詳しいよね(苦笑)」

男性:「まぁ、好きだからね」

女性:「あと…私の好みも、よく知ってる」

男性:「それは彼氏だからね」

女性:「そういうこと、さらっと言えるのがすごい」

男性:「そう?あ、とりあえず買ってきちゃうね」

女性:「あ、ありがと」


女性:彼が席を立ち、注文しに行った。

女性:いつも気遣ってくれているのがよくわかる。


(少し間をあける)


男性:「お待たせ」

女性:「ありがとう。あ」

男性:「ん?どうかした?」

女性:「あ、ううん。ホットにしてくれたんだ、と思って」

男性:「テラスで、少し冷えるしね。寒いの苦手でしょ?」

女性:「うん…ありがと。言うの忘れたなぁって思ってたの」

男性:「僕も聞くの忘れたなぁとは思ったけど、合ってたみたいでよかった」

女性:「本当、さすがだよ」

男性:「お褒めに預かり、光栄です!」

女性:「(笑)何?それ」

男性:「あれ?違った?」

女性:「違くない」

男性:「(笑)よかった」

女性:「ねぇ、どうして私と居てくれるの?」

男性:「どうしたの?突然」

女性:「いや…私自身、自分を好きになれないって最近思ってるんだよね」

男性:「なるほど?」

女性:「でも、〇〇は一緒に居てくれるじゃない?どうしてかなって」

男性:「それは、〇〇の事が好きだからだね」

女性:「それはそうだと思うけど…」

男性:「でも、どうしてそんなに自分を嫌うの?」

女性:「どうしてって…」

男性:「僕は普段の○○が好きだし、別に嫌とか思ったことないよ?」

女性:「私はこんな自分は嫌い…相手を想えば想うほど、素直になれない自分が。

    周りは『落ち着いていて、大人っぽい』なんて言うけれど…本当は違う。

    傷つくのが、嫌われるのが怖い…だからずっと、自分の殻に閉じこもっちゃって」

男性:「…そうだね」

女性:「それでも、相手に想いを伝えたいと思っているのに、どうして言えないんだろうって。〇〇が想いを素直に伝えてくれるから、余計に思う」

男性:「そっか…僕が追い詰めてたりする?」

女性:「それは違う。ただの自己嫌悪なの…」

男性:「…僕はさ。〇〇が言えないのは分かってるし、それでも伝わってくるからいいんじゃないかなって思ってるんだよね」

女性:「えっ?」

男性:「誰にだって、向き不向きはあるしさ。何より、僕がちゃんと理解してれば、問題ないかなって思うんだよ」

女性:「そう…かな?」

男性:「うん。〇〇の事、ちゃんと見てるし、何となく、話してる雰囲気で、考えてること分かるし。それは〇〇も一緒でしょ?」

女性:「うん…〇〇の言いたいこととか、考えてること。話し方とか雰囲気で何となくだけど、分かる」

男性:「でしょ?だからいいんだよ」

女性:「そっか…そうだね」

男性:「だから、そのままで居て?嫌いになったりしないし」

女性:「ありがとう」


(少し間をあける)


女性:いつも彼は欲しい言葉をくれる。

女性:『もう少し一緒に居て』ってたった一言なのに、なんで言えないんだろう…

女性:そんなことで悩んでいた私に『そのままで居て』って言ってくれる。

女性:甘えるようなことが言えない私だけど、いつか言えるかな?

女性:言えたらいいなぁ。あなたへ甘えた言葉。


(少し間をあける)


男性:彼女はいつも表情や雰囲気で伝えてくれる。

男性:きっと気付いていないけど…僕の思っている事を誰よりもちゃんと察してくれる。

男性:だから、無理して態度を変える必要なんてない。

男性:お互いが理解していれば、それでいいんだから。

男性:これからも、この関係が続くように、僕は傍に居るよ。



(終わり)


改行修正:2024/2/3

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